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平和へのメッセージ
2001/10/05  友人から友人を経て――アメリカ在住アフガニスタン人からのメール
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以下のメールはぼくにはまったく面識のない、アメリカに住むアフガニスタン人タミム・アンサリー氏から、氏の友人であるニューヨーク在住のアーティストに出されたものです。
ここに書かれていることのすべてが真実であり、すべての考え方が正しいということではありません。しかし、アメリカに住むアフガニスタン人という、日本に住むぼくたちにはとうてい想像もできない状況の中にいるひとりの人間の言葉として、触れる価値のあるものだと思います。
本人の許可のもとに、ここに公開します。
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親愛なる友達へ、
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今日はWKTOの番組『トーク・ラジオ』でロン・オーウェンズが「アフガニスタンに石器時代が再来するまで徹底的に爆弾を落とすべきだ!」なんて叫んでいるのを散々聞いた。 彼等は既に、この惨事とは一切関係をもたない多くのアフガン市民達が虐殺されるかもしれないという事実を肯定したところで喋っている。 「我々は戦争をするのだから副次的な事故は避けられないだろう」と。 その数分後にはテレビ・アナウンサーが「私達には今から私達がすべき事を全うする度胸があるのでしょうか?」なんて口を滑らしていた。
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自分はアフガニスタン人であり、過去35年間をアメリカで暮らしているとはいえ、一時たりともアフガニスタンの情勢から目を離した事が無い。 そしてこういった事態を経た今日、ボクは激しく葛藤している。 だから今ここで、立ち止まって耳を傾ける事の出来る人達へ向けて、ボクの立場からみた状況を語っておきたいと思う。
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ボクはタリバンとオサマ・ビン・ラデンを呪う一人として語る。 これらの人達が今回の惨事の責任者である事はほぼ間違い無い。 これらの怪物どもを何とかしなくてはいけないのは確かな事だと思っている。 しかし、タリバンもビン・ラデンもアフガニスタン人ですらなければ、タリバンはアフガニスタンの正式な政権でさえもない。  ボクにとってタリバンは97年に武力でアフガニスタンを征したキチガイどもでしかないし、ビン・ラデンは妄想を抱えた国際政治犯以外の何者でもない。 タリバンを想像するならナチスの事を思えばいいし、ビン・ラデンを想像するならヒットラーを思い、アフガニスタン人を想像するなら強制キャンプに押し込まれたユダヤ人達を思えばいい。
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アフガニスタン人はこの惨事と一切関係無いという事に加えて、同じ犯罪者どもの最初の犠牲者達だという事を忘れないで欲しい。アフガニスタンの人々は、もしも誰かがタリバンを退治して、国中に広がる国際犯罪組織の巣窟を一掃してくれたら大いに喜ぶだろう。 何故アフガニスタン人はタリバンと戦わないのか、と言う人達がいる。
 アフガニスタンの人々は、極限的な飢えと傷に苦しみ、枯渇しているのが彼等には解らないのだ。 何年か前に国連が発表した統計によると、経済と呼べるようなものどころか、食べ物すら無いアフガニスタンには、500、000人以上の身体障害をもった孤児がいると報じていた。 数百万人と言われる未亡人達は、タリバンの手によって集合墓地に生き埋めにされているという報告もある。 国土は地雷に覆われている上に、農場はソビエト連合によって尽く破壊されたままである。 
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さて、「アフガニスタンに石器時代が再来するまで徹底的に爆弾を落とすべきだ」という世論に焦点を戻そう。問題は、それがもう既にソビエトによってなされているという事なのだ。アフガニスタン人を苦しめると言っても、彼等は既に極限状態で生きているのであり、アフガニスタン人の建物を平らにしようと言っても、それらは既に平らにされているのだ。 アフガニスタンの学校をことごとく砂利の山にしてしまおうと言っても、医療施設と薬剤の供給を根絶し、あらゆるインフラストラクチャーを破壊しようと言っても、それらは既に他の誰かの手によって完了しているのである。更なる爆弾は、かつての爆弾が残した砂利の山をかき回すだけなのだ。 ならばアメリカはせめてタリバンを一掃する事が出来るだろうか? おそらく無理だろう。 今日のアフガニスタンで唯一自由に動き回り、食物にありつく事が出来るのは、タリバンだけなのだ。 連中はあっという間に国土中に散らばり、爆撃を逃れるだろう。 爆弾のターゲットには身体障害を負った孤児達が残されているだけなのだ。 これらの子供達は逃げようにも車椅子すらもっていないのだから。
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カブルの上空を飛び回り爆弾を落とす事は、この信じ難い惨事をひき起こした犯罪者達に打撃を与えたことにはならない。 それは、犯され続けてきたアフガニンスタンの人々を、再びアメリカがタリバンと同様に犯すということである。 では、一体何がなされるべきなのか。 沸き上がる恐怖に震える言葉で、これから何が起こり得るのかという事を話そう。 ビン・ラデンを確実に仕留める唯一の方法は、陸を侵攻する事である。 可能な限り多くの『敵』を殺す、という事をアメリカの目的とし、無実な市民達を巻き添えにする事の道徳上の葛藤を「度胸」で乗り越えたところで、頭を冷やして考えてみて欲しい。 ビン・ラデンの隠れ場への道を切り開く戦いは、アメリカの兵士達の命を奪うだろう。しかし、この戦争はその程度では全く治まらないかもしれないのだ。 アフガニスタンに侵攻するには、アメリカはパキスタンを通過しなくてはならない。 果たしてパキスタンはそれを受け入れる事が出来る政権だろうか? 疑わしいところだ。 さもなれば、アメリカはパキスタンを(タリバンを支持している政権として)征したのちにアフガニスタンを攻撃するという事になる。周辺のイスラム政権がこれを黙って見過ごすとは思えない。 ここまで言えばボクの思考の流れが何処へ向かっているか解るだろう。
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ボク達は西側とイスラムという世界戦争と戯れている。 それはビン・ラデンの陰謀そのものなのだ。ビン・ラデンのテロリズムは正しくそれを目的としている。彼自身の宣言や声明文を読んでみれば解る。 彼はイスラムが西側に勝利する事を信じているのだ。 馬鹿げていると思うかもしれない。 しかし、彼は我々の目に映る世界を西側社会とイスラム社会という二つの極に偏光して映す事が出来れば、彼の後ろには十億の兵隊がいるという事になると考えているのだ。もしも西側がイスラムの地に破壊工作をしかけたならば、それは十億の何も失うものを持たない特攻隊という訳だ。彼の計算はおそらく誤っている。もしそうなったとしても、最後には西側が勝利を治める事になるだろう。 しかし、 戦争の火は何年間も燃え続け、何百万人もの人間が死ぬ事になることは避けられない。  それでは誰がこれを『全うする度胸』を持っているというのだろう? ビン・ラデンは確かに持っている。 あなたは?
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タミム・アンサリー
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